住宅ローンや自動車ローンの審査に通らない原因と今からできる対策
ファイナンシャルプランナー
行政書士
ファイナンシャルプランナー
CFP®認定者(日本FP協会)宅地建物取引主任者 住宅ローンアドバイザー
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。関西大学を卒業後金融機関を経て2002年独立系FP会社を設立。独立系FP会社のパイオニアとして、従来のFP概念にとらわれない事業へ果敢にチャレンジし、業界発展そして社会に貢献すべく邁進中。その活動はテレビや新聞、雑誌などの各種マスコミなどにて多数取り上げられている。
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この記事の目次
- ✓家や車を購入するのにローンを組みたい
- ✓でも、ローン審査に通らなかった…
- ✓どうして審査落ちしたのか気になる
憧れのマイホームやマイカーを購入する際に、多くの人が住宅ローンや自動車ローンに申し込みますが、中には審査に通らず利用できなかったケースもあります。
どうして各種ローン審査を通過できなかったのか、金融機関側から公表されることのない原因を確認していきましょう。
住宅ローンや自動車ローンの審査に通らない…
住宅ローンや自動車ローンは、高額な買い物をおこなう際に利用される「目的型ローン」と呼ばれる金融商品です。
マイホームやマイカー購入と言ったように、規定された用途であれば、非常に低金利でお金を借入できるローンとなっています。
このような目的型ローンは、申し込んだからと言って誰でも利用できる訳ではなく、審査を受けなければいけません。
申込者の中には、何らかの理由があって審査落ちしてしまうケースもあるのです。
審査落ちする原因をセルフチェック!
住宅ローンや自動車ローンの審査に通らない場合、単純に基準が厳しいというだけでなく、個人に何らかの原因があるケースがほとんどです。
しかし、ローンを提供する銀行や信販会社から、審査落ちの理由を聞くことはできません。
審査落ちしてしまった原因はある程度絞られるので、通過できなかった人はセルフチェックしてみましょう。
各種ローン審査を通過できない3つの原因
各種ローンへの申し込み内容などから、審査で重要視されるポイントはある程度把握できます。
現在の収入面や信用情報といった審査落ちの原因として考えられる要素を、下記でさっそく確認してください。
審査落ちする原因1|毎月の収入が安定していない
住宅ローンや自動車ローンに関わらず、どのようなローンを組むにしても、継続して返済していけるだけの「安定収入」があることは必須条件です。
借りたお金はきちんと返すのが社会人として当たり前の行為なので、返済能力がないと判断されれば審査落ちしてしまいます。
下記のような特徴に思い当たる人は、安定した収入がないと判断され、審査落ちしてしまった可能性があると考えておきましょう。
✓仕事に就いてはいるが、勤務期間が極端に短い
✓収入はあるものの、あまりにも低収入すぎる

ファイナンシャルプランナー|岡崎 謙二
ポイントを押さえると審査に通ります
例えば、フラット35は前年の年収と借入のバランスが適切で、一期目の確定申告が完了し、一般的な銀行のローンよりは通りやすいです。また、取引先の銀行であればこれまでの実績を加点した上で、他の銀行より好条件でローンを組むことができる可能性があります。気を付ける点としては、所得に大きな変動がないか、前年が赤字か所得額が少ない申告の人は、黒字の申告をしてからがいいでしょう。
審査落ちする原因2|返済負担率が基準を超えている
住宅ローンや自動車ローンなどの審査では、「返済負担率」がひとつの大きな基準となっています。
返済負担率は、「総返済負担率」や「返済比率」とも呼ばれ、年収に対する年間返済額(元金+利息)の割合のことをいいます。
年間返済額には、カードローンやクレジットカードのキャッシング、携帯料金の割賦払い、奨学金など、ローンの種類に関係なく含まれます。
(100万円 ÷ 400万円)×100 = 25%
この割合が35~40%を超えると、ローン審査を通過できない可能性が高いので、自身の返済負担率を算出してみましょう。
審査落ちする原因3|日常的な支払いで金銭トラブルがある
各種ローン審査では、普段から行っている携帯料金などの日常的な支払いも確認されます。
過去に下記のような金銭トラブルを起こしていないか、審査を通過できなかった人は確認してみてください。
✓支払い義務のある税金を滞納している
✓家賃の支払いがいつも遅れている
✓複数社から同時に借入している
Q.金銭トラブルが一度でもあると住宅ローンの審査には不利になるの?
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ファイナンシャルプランナー|水上克朗
不利になる場合がある
住宅ローンの審査に、金融機関は、これまでの借り入れや支払いの状況、クレジットカードの利用履歴などの信用情報をもとに返済の延滞の有無をチェックします。なお、キャシングの返済や、クレジットのカードの引き落としが61日以上遅延すると、信用情報に「異動」と記載され、異動の記録がつくと、審査が通らない可能性は高いでしょう。異動記録が消滅するには支払いから5年かかります。

ファイナンシャルプランナー|岡崎 謙二
信用情報は最長10年間残ります
信用情報とは主にお金の貸し借りに関する記録を一括管理しているもので、ローンやキャッシング、クレジットカードの利用、車のローンの支払いや携帯電話・スマートフォン料金の延滞などです。住宅ローンの審査前にローンが貯蓄で完済できるのであれば完済することが望ましいです。一度トラブルが生じても信用情報は6カ月から最長10年までの掲載期間を過ぎればマイナス要因の掲載はなくなります。
カードローンの利用履歴が原因だと考える人も多い
住宅ローンや自動車ローンを利用できなかった人の多くは、過去にカードローンを利用したことが審査に影響していると考える方も少なくありません。
過去にカードローンを使ったことで、各種ローン審査にどのような影響を与えてしまうのかを確認していきましょう。
利用したからと言って審査落ちする訳ではない
多くの方が誤った認識をしていますが、カードローンを利用しただけでローン審査に悪影響がある訳ではありません。
カードローン自体に問題はないので、きちんと借入・返済を行っていれば、住宅ローンや自動車ローンに影響はないので安心してください。
長期延滞や債務整理の記録がある人は要注意
住宅ローンや自動車ローンの審査を受ける際に注意しなければならないのは、カードローン利用中に金融事故を起こしている場合です。
返済期日を守らずに長期延滞していたり、何らかの理由で債務整理をしていたりすると、「信用情報」に金融事故として記録が残ってしまいます。
出典: JICC 指定信用情報機関 株式会社 日本信用情報機構「信用情報」とは、ローンやクレジットの利用などの信用取引に関する、過去から現在までの客観的な取引事実を表す情報です。
記録が消えるまでには5~10年かかるので、その間はどんなローン審査も通過できません。心当たりがある人は、下記の信用情報機関で現在の状態を確認しておきましょう。
信販会社での金融取引状況を確認できます。
✓日本信用情報機構(JICC)
消費者金融での金融取引状況を確認できます。
✓全国銀行個人信用情報センター(全銀協)
銀行での金融取引状況を確認できます。
Q.少額でも借金が残っていると住宅ローンは組めない?

行政書士|岩井和幸
借金があっても住宅ローンを組むことは可能
借金があったとしても住宅ローンは組めますが、必ず組めるというわけではありません。金融機関は、その借金の内容と返済が遅延していないか「返済遅延額」を精査し、その結果によっては審査が通らなかったり、審査が通ったとしても希望額よりも少ない額しか借りることができない「減額承認」になったりする場合もあります。その基準は各金融機関で決められており、住宅ローンを含めた年間返済額の年収に占める割合(返済比率)を審査の際には厳しくにチェックされます。
カードローンを利用中の人は計画的な返済を!
住宅ローンや自動車ローンの利用を考えている人の中で、現在もカードローンを使っている方は、トラブルなく完済しておく必要があります。
今後の人生設計を上手く進めていく為にも、返済計画をきちんと立てておきましょう。
返済計画をきちんと立てて完済を目指す
毎月無理なく支払っていけるように、きちんと返済計画を立てておくことで、金銭トラブルを回避することができます。
今現在、毎月の返済が厳しいと感じている人は、下記のフローを参考に資金繰りの見直しを図ってください。
- 完済までの希望期間を設定
- 毎月最低限必要な返済額を算出
- 収入から捻出できる金額と比較
返済金額を捻出するのが難しい人は、月々の支出を洗い出し、不要な出費を支払いに充てましょう。
無事に完済したら解約手続きを行う
ローン審査を受ける際に忘れがちなのが、借入金を完済するだけでなく、「カードローンを解約する必要がある」という点です。
金融事故を起こさずに完済したとしても、解約手続きを行わなければ契約した状態が維持されたままになっています。
金融機関によっては借り入れできる状態にあるだけでマイナスになる可能性もあるので、住宅ローンや自動車ローンを検討している人は完済後に解約しておきましょう。
今月の返済を遅延しそう…そんな人はこちら!
カードローン利用中に延滞しそうな人は、ローン審査に悪影響が出てしまわないよう、1日でも早く対処しなければいけません。
3ヶ月以上の長期滞納だけでなく、短期間に何度も延滞している場合も、金融事故として扱われてしまう可能性が高いです。
信用情報が傷ついてしまう前に、適切な行動を取るようにしましょう。
まずは借入先に相談するのが最優先
カードローンの返済が遅延しそうな場合、まずは借入先に相談するのが最優先です。
相談することによって返済する意思はあると判断してもらえ、一時的に利息のみの支払いで対応してもらえる場合もあります。
今後のローン審査のことも踏まえて、無断で滞納することだけは絶対に避けましょう。
一時的に払えないなら他のカードローンで借り換え
今月だけ金欠で返済が厳しい人は、不足分を他のカードローンで借り換えるのもひとつの手段です。
金融事故を起こし、住宅ローンや自動車ローンの審査に悪影響を与えないことが何よりも大切なので、トラブル回避を最優先で行いましょう。
次月の給料を使って資金繰りを立て直せば、無理なくトラブルを回避することが可能です。
他のカードローンで借り換えを希望する人は、下記に紹介するような大手のカードローンを検討してみてください。
慢性的に払えない場合は無理せず専門家に相談しよう
上記のようなケースとは異なり、万が一長期的に返済が困難な状況に陥っている人は、無理せず専門機関に相談しましょう。
一人で悩まずに、弁護士や借金問題の専門家に相談することで、今できる最良の選択ができるはずです。
下記のように無料で相談に乗ってくれる良心的な専門機関もあるので、借金が原因でローンを組めなかった人はぜひ検討してみてください。
まとめ
住宅ローンや自動車ローンの審査に通らない原因と、今からできる対策について確認していきました。
✓カードローンの利用だけでは特に問題はない
✓利用中に金融事故を起こしていると審査に悪影響
✓カードローンを利用中の人は計画的に完済しよう
各種ローンの審査を通過できなかった人の多くは、自身に何らかの問題があったと推測できます。
記事中で紹介したように、収入面や信用情報の状態に注意しつつ、審査を受けるようにしましょう。
Q.個人事業主やフリーランスは、収入面で住宅ローンの審査に通りにくい?
ファイナンシャルプランナー|水上克朗
通りにくいということはない
審査の収入面でのチェックは、会社員は基本的に前年の給与明細を提出することになりますが、個人事業主やフリーランスは確定申告書をチェックされます。多くの金融機関では、この確定申告書を過去3年分提出するように求めています。したがって、基本的には、「3年以上事業を続けていること」が融資の条件になっています。なお、個人事業主やフリーランスとしてすでに大きな実績を残している場合は問題ないでしょう。