国立大学の授業料が安いという日本の常識が崩壊の危機
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ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、多数のメディア編集業務に従事。その後、ファイナンシャルプランナー2級の資格を取得。FPとしての専門知識を活かし、カードローン、FX、不動産、保険など様々な情報におけるメディアの編集・監修業務を行ない、これまで計2000本以上の担当実績を誇る。ローン審査経験者などのインタビューなども多数行ない、専門知識と事実に基づいた信頼性の高い情報発信を心がけている。公式ページ:「ファイナンシャルプランナー村上敬」
- ✓大学の授業料(学費)が高い…
- ✓国立と市立で学費はどれぐらい変わる?
- ✓日本の大学は海外と比べてどう?
国立大学の学費(授業料)は安い、誰もがそう信じているでしょうが、その常識が崩れています。
文科省の発表では、国立大学と私立大学の授業料を対比させているデータを公開していますが、昭和50年に5.1倍だった両者の学費差が、平成16年には1.6倍にまで学費差が縮まっているのです。
両者ともに値上げは段階的にされていますが、今後は国立の値上げ幅が大きくなっていきそうです。
国立大学の授業料が54万円⇒94万円に大幅値上げの可能性あり
ドキッとした学生は少なくないのではないでしょうか?
国立大学の予算は文科省が司りますが、あくまでも財務省が決めた大枠の範囲内でしか決められません。
その財務省の諮問機関である「財政制度等審議会」が、毎年1%ずつ交付金を削減していこうという方針をまとめたのです。
つまり、学生数減、交付金減という事象と政策によって、国立大学は授業料をはじめとした学費の値上げを行わない限りは存続していけないのです。もちろん、今すぐという話ではなく、これは2031年の話です。
とはいえその金額の差は大きく、現在54万円の授業料が94万円まで吊り上げられてしまう可能性が出てきたのです。
国立大学に支給されている運営費交付金が大幅減額の恐れ
国立大学には学費が安いという大きなメリットがあり、学生の中には「私学は授業料が高いから難しいが、国立大学の学費なら大丈夫」と考えて進学を決めた方も多いはずです。
その安い学費というのは、国から支給される運営費交付金の助けによるところが大きいのですが、近年その予算が少なくなってきています。
財務省の方針としては、現在約1兆1千億円の予算を9800億円まで減額する予定とのこと。
現在の学生にとっては一安心といったところでしょう。しかし、今後はご自身が親になって子供を大学に進学させる立場になってから、
かなり家計に響いてくるようになります。
文科省は財務省に反発している!
国立大学の授業料を増額するというのは、あくまでも財務省の提案です。
財務省は「運営費交付金を減額する必要がある」という前提のもと、「不足分は学費から徴収する必要があるだろう」と、国立大学が資金を確保する方法を例示しています。
しかし文科省は「学生に負担をかけないよう配慮する必要がある」との意見を示し、なおかつすでに運営費交付金が過去12年間で12%も削減されている事実を訴えました。
国立大学の志願者は少子化の影響で減少している
国立大学は確かに学費の面で門戸を広く開けていますが、少子化が進む現代日本ではその志願者は年々減少し続けています。
それは入学試験の倍率に顕著に表れており、2004年度に4.7倍だったものが2015年度には4.0倍まで下がっているのです。
今後この調子で国立大学の入学者が減り続けていけば、運営費交付金減額の煽りを受けて増えていく学生ひとりひとりの授業料の負担額は、その人数に反比例して増していくのではないでしょうか。
東大学生の家庭は約2割が年収1,000万円以上
東大をはじめとする国立のトップ大学は、裕福な家庭の出身者が多いことはデータでも示されています。
東大は世帯平均年収1,000万円以上が約2割にも上りますし、データのある京大、一橋大でも裕福さが示されています。
これらの大学に行くには子供の頃から塾で長時間の勉強をしなければ入れないために、そのお金が掛かるためです。
また、現在では国公立の医学部、私学の医学部、私立のトップ大学も競争が激しいために、裕福な家庭だと見られます。
もう日本のトップ大学で普通の家庭から入り込む余地が少なくなっていくのかもしれません。
ちなみに参考までに、トップ国立大3校の学生の世帯平均年収を挙げておきます。
◆東京大学
1550万円以上 6.3%
1250万円~1550万年未満 5.5%
1050万円~1250万円未満 5.7%
950万円~1050万円未満 14.0%
750万円~950万円未満 12.7%
450万円~750万円未満 19.7%
450万円未満 36.1%
※平成25年度 東京大学学生生活実態調査
◆京都大学
2000万円以上 3.0%
1200万円~2000万円未満 8.7%
900万円~1200万円未満 22.2%
600万円~900万円未満 26.0%
300万円~600万円未満 20.4%
300万円未満 12.8%
無回答 7.0%
※平成25年度 京都大学学生生活実体調査報告書
※学部生、院生も含めて
◆一橋大学(学部生のみ)
2000万円以上 4.2%
1750万円~2000万円未満 2.6%
1500万円~1750万円未満 3.7%
1250万円~1500万円未満 11.2%
1000万円~1250万円未満 15.7%
750万円~1000万円未満 17.6%
500万円~750万円未満 8.6%
250万円~500万円未満 6.6%
250万円未満 4.0%
わからない 23.9%
無回答 2.0%
※平成21年度 一橋大学学生生活実態調査報告書
特に裕福ではない家庭はどうするのか
裕福な家庭は、学習環境にお金を投じることはできますが、そうでない家庭では同じことはできません。
仮にそうした厳しい環境を乗り越えて、国公立や有名私立に合格したとしても、学費がネックとなりかねません。
奨学金などもありますが、かなり就学環境は悪化していれば、学生の機会を奪ってしまいます。
【まとめ】国立大学の授業料値上げに早くから備えるしかない
国立大学の授業料などの学費の値上げが検討されるにいたっています。
国の財政健全化のための交付金減らしを実施しようとしているので、それを賄うためには学費の値上げが必然ということなのです。
もちろん、値上げされるとしてもだいぶ先のことになります。
現在受験生をお持ちの親御さんは、今の心配をしなければいけません。お子さんたちの就学機会は何とか確保していただきたいものです。