上手にお金を貯めるために財形貯蓄やつみたてNISAなどの優遇制度を活用しよう

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上手にお金を貯めるために財形貯蓄やつみたてNISAなどの優遇制度を活用しよう
この記事を執筆した専門家

ファイナンシャルプランナー

菊原浩司

神奈川県出身 湘南工科大学大学院修了。民間研究機関に勤務し、理工系出身のデータ重視のコンサルティングが強み。特に人生最大の買い物である不動産と保険に注力。不動産は『買っておしまいではなく、管理・資産計画まで含めた総合的なサポート』を保険は『保険貧乏にならないよう、必要な保証を必要な期間だけ』を理念としている。現在FPオフィス Conserve&Investment代表。「ファイナンシャルプランナーがおしえるお金の話」を運営

この記事の目次

優遇制度を使って賢くお金を貯めるには

「マイホームの購入」「子どもの教育費」「老後の生活資金」の3つのライフイベントは、多くの資金を必要とします。社会人になったら計画的に備えておくことが重要ですが、現在の低金利下では、ただ闇雲に預貯金をするだけでは充分な資金を貯めることは困難です。

しかし現在は、資産形成を助けるため様々な優遇制度が整備されてきています。今回はそうした優遇制度の中から、古くから親しまれている財形貯蓄制度と、2018年に制度が始まったばかりのつみたてNISAの新旧2つの制度について解説していきます。

財形貯蓄制度の概容

財形貯蓄制度は比較的歴史が古く、多くの企業で福利厚生の一環として導入されています。拠出金は給料から天引きされるため、他の優遇制度よりも資産形成に対する強制性が高くなっていることが特徴です。

財形貯蓄制度は資産形成の目的に応じ、財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄・一般財形貯蓄の3タイプから選択することができます。

財形住宅貯蓄の特徴

55歳未満の勤労者が、マイホームの取得を目的とした資産形成をする場合に利用することができます。

給料天引きによって5年以上の積立を行い、積立金をマイホームの購入・増改築などに使うことを条件に利用できる、元本550万円までの利子所得が非課税となる非課税限度枠が存在します。

財形年金貯蓄の特徴

55歳未満の勤労者が、老後資金としての資産形成をする場合に利用することができます。

給料天引きによって5年以上の積立を行い、60歳以降積立金を年金形式で5年以上にわたり定期的に受け取ることで元本550万円(生命保険等の場合は元本385万円)までの利子所得等が非課税となります。

一般財形貯蓄の特徴

資金の用途に制限を設けない場合や、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄を制度の目的以外で積立金を利用する場合は一般財形貯蓄が適用されます。

一般財形貯蓄は自由に資金を利用できる反面、他のタイプにあった非課税限度枠の適用を受けることができないといったデメリットがあります。

非課税限度枠だけではない、財形貯蓄制度のメリット

非課税限度枠は金利が高いほどメリットが増すため、バブル期のような高金利下では魅力的な優遇制度となっていましたが、現在のような低金利下では少々心もとなく感じてしまいます。

しかし、財形貯蓄には利用者のみが使用できるユニークな制度があり、様々なライフイベントで存在感を発揮してくれます。

今回はマイホーム購入時などに強力な選択肢となる『財形住宅融資』について説明していきます。

財形住宅融資の仕組み

住宅金融支援機構が提供する住宅ローンで、1年間以上財形貯蓄を行い、積立金が50万円以上となっている場合に申込ができます。

金利タイプは5年固定金利のみですが、融資金利がネット銀行に匹敵するほどの低金利となっている上、従業員数が300人以下の中小企業に勤めている方や、18歳未満の子どもを扶養している方は融資開始から当初5年間0.2%の金利を引き下げる特例措置があり、さらに有利な金利条件で住宅ローンを利用することができます。

融資額は財形貯蓄の積立金の10倍の額(最高4000万円)、またはマイホームの取得・リフォームに必要な費用の90%の額のいずれか低い方までとなります。

財形住宅融資の最大の特徴は、高額になりやすい融資事務手数料や保証料といった諸費用が不要となるメリットがあります。

このように、財形住宅融資は住宅ローンとしては魅力的なのですが、団体信用生命保険(団信)が含まれていないため、自身で生命保険に加入するなどし、万が一の際の住宅ローン返済策を準備する必要があります。

つみたてNISAを利用して資産運用をスパイスに

貯蓄だけではなく、投資信託などの金融商品を利用し、資産形成をする方法もあります。『貯蓄から投資へ』をスローガンに、投資によって資産形成を後押しする優遇制度が次々と整備されています。

2018年にはじまったつみたてNISAもその1つです。

つみたてNISAの仕組み

2018年にスタートしたつみたてNISAは、20年間にわたって毎年40万円ずつ、合計800万円までの元本に対し、金融庁が長期の資産運用をするに適すると判断した投資信託によって得られた分配金及び譲渡益の所得税及び住民税を非課税にできる制度です。

つみたてNISAで利用できる投資信託は厳しい基準で審査されており、投資対象商品となるためには以下の要件を全て満たす必要があり、2020年6月29日現在で公募投信が175本、上場型投資信託7本が認定されています。

つみたてNISAの主な投資対象要件

  • 投資信託の購入時に負担する販売手数料が不要であること
  • 投資信託を所有中に負担する手数料である信託報酬が一定水準以下であり、その負担額を通知すること
  • 毎月分配型の投資信託ではないこと

以前は、営業ノルマを達成させる目的で顧客に投資信託の売買を次々と繰り返させる回転売買や、元本の取り崩しを利益と錯覚させる毎月分配型の投資信託が横行しており、資産形成の手段として用いるには注意が必要でした。

しかし、数年前に金融庁の指導が入ったことで状況は好転しつつあり、つみたてNISAで選ばれている投資信託はいずれもそうした恐れのないものとなっています。

つみたてNISAは、日本に居住している20歳以上の方が銀行や証券会社などの金融機関に口座開設の申込をすることで始められるので、財形貯蓄制度よりも利用の間口が広いのも特徴です。

つみたてNISAは長期・少額の資産形成に適した設計となっており、出金も自由に行えるため、投資経験の少ない方でも気軽に始めることができます。貯蓄が長続きしにくい場合は金融商品を取り入れ、アクセントの利いた資産形成を進めてみてはいかがでしょうか。

つみたてNISAの注意点

つみたてNISAは、より投資色の強いNISAのどちらか一方しか口座を開くことができませんので口座開設の際は両者を比較・検討することをお奨めします。

また、つみたてNISAには時限措置が組み込まれており、当初は2037年までしか新規投資をすることができませんでしたが、現在は2020年の税制大綱により投資可能期間が2042年まで5年間延長されています。

今後も制度の改正や延長などが生じる可能性はありますが、基本的には期間限定の優遇策であるため、後悔のない利用をしましょう。

まとめ

少子高齢化の深刻化に伴い、老齢年金などの公助が改正され、今後はより一層自助が重視されるようになっていきます。そこで資産形成を助けるため、様々な優遇策が整備されてきています。今回は伝統的な資産形成の手段である財形貯蓄制度と、2018年にスタートした比較的歴史の浅い公的制度であるつみたてNISAについて解説させていただきました。

財形貯蓄制度はメリットの1つである利子所得等の非課税限度枠が、金利低下の影響によって魅力が薄れてしまいました。しかし住宅財形融資利用時の住宅ローン金利も低下しており、各種手数料が不要であることも相まって、マイホームの購入時などには強力な選択肢となると思われます。

つみたてNISAは、金融庁の厳選した投資信託によって資産形成に投資を組み込みやすくなりました。また、つみたてNISAは20歳以上の国内居住者であれば誰でも始めることができるため、財形貯蓄制度よりも開始のハードルが低くなっています。

資産形成の正解はひとつではなく、目的に沿った上で、ご本人が無理なく長続きできる方法を探すことが大切です。

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