年収1,000万円世帯の家計運営は意外と留意点が盛りだくさん

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年収1,000万円世帯の家計運営は意外と留意点が盛りだくさん
この記事を執筆した専門家・編集者

ファイナンシャルプランナー

柴沼直美

マネット編集担当/キャッシングガイド

奥山 裕基

FP資格を有し、カードローン・消費者金融および貸金業に関する豊富な知識を持つ編集者。関連法規(貸金業法・金融商品取引法等)の理解を深めつつ、多数のローン経験者へのインタビューや金融機関勤務経験者へのヒアリングをもとにリアルな情報収集を怠らず、自身も当サイトにおいて1,000本を超える記事を執筆。生活に欠かせない「お金」だからこそ最適な意思決定を支援したいという理念のもとに情報発信を行っている。

この記事の目次

年収900万円~1,000万円は慎重な家計運営が必要

年収900~1,000万円は手取と額面の乖離が大きい

これは、所得税率表です。こちらを見ると一目瞭然ですが、年収900~1,800万円水準は、税金が控除される金額がぐっと増えることがわかります。

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【引用】:国税庁・所得税の税率

1,800万円を超えると、控除前のいわゆる額面金額が多いので、控除された後も当然手取は多く残りますが、例えばぎりぎり、900万円超えのゾーンに乗った場合、それでも1,800万円と同じ税率33%が適用されますし、社会保険料の控除が多いために、思った以上に額面と手取り額との乖離が大きくなります。

家計運営は後回しになりがち

それでも、年収1000万円となると、それを前提とした家計運営になるものです。つまり、お金の使い方がどうしても荒っぽくなりがちということです

「年収1,000万円にのった」という富裕層の仲間入り的な感覚から、家計管理についてどんぶり勘定になってしまう、これだけの年収を獲得するにはどうしても業務多忙で家計を顧みる時間が取りづらい、後回しにしてしまう、などさまざまな理由が考えられます。

その結果気軽に外食に走ってしまったり、ついつい移動にタクシーを使ってしまう、或いは通信費や月々のいろいろな購読費なども行き当たりばったりになってしまいがちです。

意外な落とし穴は住宅関連

以外な落とし穴として、住宅関連費用があります。住宅購入を考えた場合でも、どうしても気が大きくなりがちです。

住宅購入を検討する場合、「どんな家に住みたいか」ということを基準にする前に、「自分たちの年収ならどのくらいの家を購入できるのか、いくらくらいのローンを組むことができるか」というところから絞り込んでいくケースも多く見受けられます。

シミュレーションソフトを使えば、例えば年収500万円、返済負担率30%の前提で44,280万円の融資が可能という結果を導くことができます。

これが、年収1,000万円となると同様のシミュレーションでは8,800万円の融資が可能となります。この数字を見ると、どうしても気持ちが大きくなってしまいがちです。

「一生に一度の買い物だから」という理由で、より自分の理想に近い家という思いから、7,000万円の融資に1,000万円の頭金を投じて合計8,000万円の予算で一戸建て住宅を購入した場合、35年ローン、金利1.0%、ボーナス併用無しであれば月々の返済額は約19万円となります。

年収1,000万円の場合一般的な試算で手取が744万円とされていますので、単純に12で割れば月額約62万円。返済後も手元に43万円残るので十分と考えてしまいます。

しかし、住宅がより大きく、より豪華になれば、ローンだけでなくそれにともなった支払いも発生します

マンションの場合は修繕積立金管理費など月々の支払も大きくなりますし、戸建ての場合は月々の積立金がない分、定期的に見直し・補修などまとまった出費がかかります。

例えば、2018年の家計調査から光熱費の項目を取り出してみましょう。

日本の平均値は年間22万1,665円となっていますが、

  • 年収356万円までの世帯は15万7,186円
  • 年収498万円までの世帯は19万8,056円
  • 年収647万円までの世帯は22万5,187円
  • 年収861万円までの世帯は25万1,493円
  • 年収861万円以上の世帯は27万6,402円

    【出典】:総務省「家計調査」

    世帯年収が上がるにつれて光熱費が大きくなっているのが確認できます。

    住居にかかる光熱費なので、大きな家に住めば基本料金も上がる、広い家になれば冷暖房が効くのにどうしても時間がかかるといったような事情を反映していると考えられます。

    所得税の場合と同じで861万円以上の世帯は1つのグループでまとめられているので、内訳を知ることはできませんが、例えば年収2,000万円にもなれば、そもそもの年収が大きいのでそれほど負担感はないかもしれませんが、ちょうど861万以上のグループに入ったぎりぎりの世帯であれば、税金・社会保険料の負担感と併せて、支出の大きさが響くことになります。

    したがって、このような「ようやく富裕層ゾーンに入った世帯」では、ともすれば緩みがちな財布のひもは意識して締めておく心掛けが必要になります

    それでも異常時に巻き込まれた場合

    日ごろからの心掛けで、厳しめに家計を切り盛りしてきた場合でも、今回のコロナ禍のような大津波なみのショックが襲ってきた場合は、対応が難しくなる場合も起こります。

    その大きな問題の1つが「子どもの教育費」だと思います。住宅ローンの場合は金融機関など窓口に相談するという方法がすぐ思いつくでしょうが教育費における行政の支援はまだまだ浸透していません

    教育費の場合『学生支援緊急給付金』の活用

    一見、八方ふさがりのような感じに思われるかもしれませんが、このような予期せぬ事態に陥った場合は、行政の支援を探すのが有効です

    昨今、少子化対策として教育費の無償化や教育資金支援のプログラムが充実していますので、ぜひ検索してみてください。

    日本学生支援機構(JASSO)では、コロナ禍の影響による家計収入やアルバイト収入の減少などにより、学生生活の継続が難しくなった場合の措置として、『学生支援緊急給付金』制度が創設されました。

    これは学生本人が「大学」を通じてJASSOに申請するものです。要件としては以下のものがあります。

    まず、家庭から多額の仕送りを受けていない、生活費や学費に占めるアルバイト収入の割合が高いという「家庭から自立している」という要件や、新型コロナウィルス感染症拡大の影響でアルバイト収入が50%以上減少したことなど「収入」要件そのほか、家庭の収入条件などがあります。

    そこで1,000万円の年収世帯の場合は、どうしても最初から「該当しない」と思いがちですが、ケースバイケースなので個別に問い合わせをして納得できるまで確認することをお勧めします。

    JASSOのホームページでは、年収要件として例えば4人世帯の給与所得者で私立大学に自宅外から通学している場合、世帯年収として約1,200万円ぐらいであれば適用となるケースもあると記載されています。詳細についてはJASSOのホームページで確認してください。

    今回は教育費の例を取り上げましたが、不可抗力によってこれまでの生活が維持できなくなった場合、年収が1,000万円クラスになると、最初から行政の支援を考慮しないケースが見受けられます。

    が、最近ではとくに国が力を入れている分野、少子化対策などについてはかなり緩和された条件でのサポート制度が整っています。ただし、自動的に情報が提供されるわけではないので、日ごろから情報のアンテナを張っておくことが必要になります。

    Editor

    マネット編集担当/キャッシングガイド

    奥山 裕基

    年収1,000万円あっても税金を除くと意外に残る金額は少なくなります。そのため、一定のやりくりはしなければいけません。もし、各種ローンや借入をする場合は、支出の負担が大きくないか確認してみましょう。

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