住宅ローンを組むときのポイントを教えて!
∨【コンテンツの広告表記に関して】
>提携企業一覧
ファイナンシャルプランナー
CFP®(日本FP協会認定)、
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター
2017年、新東綜合開発株式会社の代表取締役に就任し、同社の業務内容にファイナンシャル・プランニングを取り入れる。ボランティア活動にも積極的に参加し、FPの啓蒙普及に取り組んでいる。2020年、NPO法人日本FP協会愛知支部副支部長に就任。業務として、執筆の他に相談、講師も行っている。
>公式ウェブサイト
金利のタイプ
住宅ローンを選ぶとき、金利だけで選ぶ人は多いのではないでしょうか。
金利のタイプについては、あまり注意が払われないようですが、実はとても重要ですので、住宅ローンの基礎知識として解説します。
金利のタイプには、「変動金利型」「固定金利型」「固定金利選択型」があります。
変動金利型
変動金利型とは、半年ごとに借入金利が見直されるタイプのものをいいます。
他の金利のタイプに比べ、借入金利は低く設定されています。
注意が必要なのは、金利の見直しや返済額の変更があるため、返済計画は不確定要素を含んだものとなるということです。
具体的には、金利が下がれば返済額は減少するのですが、反対に金利が上がった場合には返済額は増加するといった影響を受けるということです。
固定金利型
固定金利型とは、返済期間中に借入金利が変わらないタイプのものをいいます。
金利の見直しが無いため、返済額は完済まで一定であり、返済計画は立てやすくなります。
金利変動のリスクを負わない分、金利は高めに設定されています。
固定金利選択型
固定金利選択型とは、最初に固定金利の期間を選択するタイプのものをいいます。
「当初固定〇年特約」「固定金利特約」といった表現の場合、このタイプに該当します。
固定期間終了後は、変動金利型に移行する商品が多いのですが、改めて金利タイプを選択できる商品もあります。
固定期間終了後に金利の見直しや返済額の変更があるため、返済計画は不確定要素を含んだものとなるという点で注意が必要です。
借りられる金額と返済できる金額
住宅ローンの申込前に、必ず審査があります。
これは、金融機関側、つまりお金を貸す側から見て「この人にお金を貸して大丈夫だろうか」を判断するものです。
審査が通ることはもちろん大切なのですが、それ以上に大切なのが、きちんと返済していけるかどうかです。
以下では、「借りられる金額」と「返済できる金額」について解説します。
借りられる金額
借りられる金額とは、住宅ローンの審査が通る金額と考えてください。「年収の〇倍」「返済負担率〇%」といった表現をされることもあります。
もちろん、金融機関側もそれだけで判断するわけではありませんが、ひとつの目安として考えられます。
返済できる金額
返済できる金額とは、支払っていける金額、もっと言えば完済できる金額と考えてください。この考え方は、借りる側の視点に立った考え方です。
例えば、あなたが結婚していて子どもがふたりいるとしましょう。その場合、あなたが考えなければいけないのは住宅の購入だけではありません。子どもの教育資金や自分の老後、親の介護などお金が必要な場面は他にもあります。
あなたの人生設計を踏まえたうえで、資金計画を考えなければいけない点が、借りられる金額と返済できる金額の大きな違いといえます。
住宅ローンを組むときのポイント
最後に、これまで述べてきたことを踏まえ、住宅ローンを組むときのポイントを整理していきます。
人生設計を整理する
意外に思われるかもしれませんが、まず大切なのは、人生設計を整理することです。
ファイナンシャル・プランニングの世界では、人生の3大資金と呼ばれるものがあります。「教育資金」「住宅購入資金」「老後資金」です。
人生設計を整理することで、教育資金と老後資金については“いつ”必要かが分かります。住宅購入については、それらとバランスさせて考える必要があります。
最初の段階では、詳細な計画を立てる必要がありませんが、借入から完済までの期間について全体像を把握しておくことは、住宅ローンを組むうえで非常に大事な要素となります。
返済期間を考える
人生設計に付随して考えるべきなのが、返済期間です。
例えば、あなたが今35歳だとして、「フラット35」で35年の住宅ローンを組もうかと考えているとします。35歳で申込して完済時の年齢が70歳であれば、フラット35の基準(申込時の年齢が満70歳未満であること、完済時の年齢が80歳以下であること)はクリアできます。
基準はクリアできるのですが、問題点もあります。完済時の年齢が70歳であるということです。70歳まで現役で働いていれば問題ないでしょう。しかし、多くの企業が定年を60歳または65歳であることを考えると、定年を迎えた後70歳までの間、返済は大丈夫でしょうか。
定年後の収入と言えば、年金を受け取っているか、あるいは再雇用されているかのどちらかが考えられますが、いずれにしても現役の頃より収入が減少していることが予想されます。
そうすると、返済には退職金を充てるか貯金を取り崩して充てるか、といったことが考えられます。しかし、できれば退職金や貯金は老後資金として残しておきたいものです。
こう考えていくと、住宅ローンはできるだけ早く、できれば定年までに完済しておきたいものです。定年までをひとつの目安にすると、返済期間はおのずと決まってきます。
しかし、そうは言っても他の資金とのバランスもありますので、うまく調整したうえで、資金計画を立てる必要があります。
金利タイプを選択する
金利のタイプの選択は、返済期間と併せて考えるのが良いでしょう。
結論から言えば、返済期間が短ければ変動金利型、返済期間が長ければ固定金利型を選択するのが妥当です。もっと具体的に言えば、
・返済期間が10年以下であれば変動金利型
・返済期間が10年超であれば固定金利型
を選択するのが良いのではないでしょうか。
リスクマネジメントの観点から見れば、変動金利型と固定金利型の大きな違いは、金利変動リスクを誰が負うかです。変動金利型は借り手側が、固定金利型は貸し手側が金利変動リスクを背負うことになります。
金利に限らず、現時点から遠い未来ほど、予想することは難しく(あるいは不可能に)なります。言い換えれば、現時点から遠い未来ほど、リスクが高くなるということです。
リスクが低いのなら自分で背負っても良いかもしれませんが、リスクが高いのであれば自分で背負うべきではないと考えれば、先述の「返済期間が短ければ変動金利型、返済期間が長ければ固定金利型を選択するのが妥当」という結論になります。
金利を選択する
言うまでもなく、金利は低い方が良いです。欲を言えば、金利を見るのと同時に「融資手数料」も見るようにしてください。
融資手数料は融資金額の2%前後のところが多いのですが、金利が同じでも融資手数料が違えば、金額も大きいです。
まとめ
住宅ローンを組むときのポイントは、以上のようなことが基本となります。
あとはこれらのポイントを踏まえて選択するだけです。
私の記事があなたの住宅購入の助けになれば幸いです。