安心ほど危険なものはない”注意したいマネーの心理学

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この記事を執筆した専門家

ファイナンシャルプランナー

山上 秀樹

証券外務員日本ファイナンシャルプランナーズ協会認定CFPⓇファイナンシャル・プランニング技能士1級日本証券アナリスト協会検定会員CMA。
金融商品仲介業者株式会社Fanに所属。主に個人投資家の資産運用相談からアドバイス、実際の購入手続き、その後の管理まで一貫して行っています。
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この記事の目次

安心ほど危険なものはない(行動経済学)

世の中にはあらゆる危険が存在します。

あなたが、もしヤクザ風の男から声をかけられたら当然警戒するでしょう。しかし、もし声をかけてきたのがサラリーマン風の笑顔が素敵な人だったら、あるいはちょっとかわいい女の子だったら……。

本当に危険な瞬間は安心の顔をしてやってくるものです。

悪徳商法といわれるマルチ商法(ねずみ講)、デート商法、原野商法、点検商法、霊感商法、健康商法などなど。初めから危険な匂いがしていたら誰も騙されるわけがありません。

またそれと同様に危険なのは、騙されているわけでもないし、違法性もないが、正しい理解を伴わずに行われている行為、投資やギャンブル等の行為です。

ギャンブルの格言に以下のようなものがあります。

“ポーカーテーブルに座って誰が「かも」かわからなかったら…”

“お前がかもなんだ!!”

人間は論理的に考えているようで、簡単に誤った選択をしてしまいます。

そのようなことをできるだけ回避できるようにしたい。
そして自分が「カモ」にならないようにしたい。

そのために人間が陥りやすい過ちを研究した行動経済学について、少しご紹介させていただきたいと思います。

行動経済学

経済学の数学モデルに心理学的に観察された事実を取り入れていく研究手法。

損失は利益よりダメージが大きい(損失回避)

投資・ギャンブルはもとより実生活においても必要なのは心の安定性です。

いきなりですが問題です。

    あなたは今日、日払いの日当で1万円もらいました。ちょっと豪華な食事で1万円使いました。財布の中身は増えたでしょうか、減ったでしょうか?

答え:変わらず

大丈夫でしょうか?
何のひねりもなくこのような問題を出されて

”馬鹿にしてるのか”

という声が聞こえてきそうです。怒らないで、次の問題にお答えください(実際にやってみてください)。

    ①何の予告もなく今の仕事がうまくいったということで、あなたに1万円の特別ボーナスが現金で支給されました。
    その時のあなたの喜びの大きさを両手を広げて表してください。
    ②続いて、あなたはお財布に入れていた1万円をうっかり手落としてしまい、その1万円は風に吹かれて歩道横の川に落ち流れていってしまいました。
    その時のあなたの悲しさを両手を広げて表してください。

どうでしょうか?

写真のように得た時①より失った時②の方が大きくならなかったでしょうか。

心理学の実験では失った時の方がおよそ2倍のインパクトだそうです。
[実践行動経済学 リチャード・セイラー (著), キャス・サンスティーン (著), 遠藤 真美 (翻訳)より]。

何が言いたいかというと、人間は得ることよりも失うことを恐れるということです。だから得たり、失ったりする可能性のある投資より、その可能性のない貯蓄を指向するということです。

これは人間の脳の仕組みですから仕方ありません。

人は何かにチャレンジするのにどうするか迷う時があると思います。そんな時、自分の気持ちには得ることよりも失うことをより恐れるバイアスがかかっているということを覚えていれば、果敢にチャレンジできるかもしれません。

そのことで冷静にまた合理的に判断することができれば、ビジネスにおいても実生活においても正しい判断を下せる確率が高くなると思います。

金銭感覚は麻痺する(感応度低減)

誰だって借金なんて嫌なものです。

今まで借金などしたことがなかった人が50万円借金したら、なんとか50万円返してまずはプラスマイナスゼロにしたいと思うでしょう。

しかし、この借金が積もり積もって500万円になったとします。

そうすると、なんとか50万円でも返そうという気持ちが薄れてきます。むしろ、500万円も借金があるのだから、あと50万円ぐらい借金が増えても大して変わらないかなんて思ったりします。

プラスの方も同じで、借金もないが貯金もなかった人ががんばって50万円貯金できたらとても嬉しいことだと思います

しかし、貯金が増えていって500万円になった時、さらに50万円貯金できた時の嬉しさは先ほどよりも小さいと思います。

同じ50万円でも、その時の嬉しさや苦しさの大きさには違いが生じるのです。

このことを感応度低減といいます。

損切りは早く、利食いは遅く(プロスペクト理論)

プロスペクト理論とは利益と損失が人にどういう感情を与えるのか?を研究したものです。感情とはうれしい(満足)や悲しい(不満)ということで、これを効用と言います。

1979年、プリンストン大学のD・カーネマン教授とスタンフォード大学のA・トヴェルスキー教授が心理学を使った新しい意思決定理論として発表しました。

カーネマン教授は2002年、この理論を対象にノーベル経済学賞を受賞しています。

このプロスペクト理論で特に重要なのが以下の3つのキーワードです。

  • リファレンスポイント
  • 感応度低減
  • 損失回避

以下の図、効用曲線を参照しながら、筆者の専門とする株式投資を例に、この3つのキーワードについて説明いたします。

①リファレンスポイント

リファレンスポイントとは、物事を評価する基準の点です。株式投資で言えば多くの場合株を買った時の損益分岐点がこれにあたります。

つまりコストを引いてプラスなら嬉しいし、マイナスなら悲しいという意味で上記の図では横軸の0の点がこれに当たります。

②感応度低減

株が上がってくると嬉しいものです。しかし1,000円で買った株が1,200円になった時の嬉しさと、その株が3,000円になりそこから200円上がった時の嬉しさは同じではありません。

どちらも利益は200円で違いはないのですが、後者の方が嬉しさは少ないと思います。つまり株が上がるにしたがって同じ利益でも嬉しさの度合いは減少していきます。

同様に株が下がって来るとき、1,000円で買った株が900円に下がった時と、その株が300円まで下がって、そこから更に100円下がった時も感じ方は違います。

900円になった時は何とか早く100円上がって買値に戻って欲しいと思うでしょう。しかし、それがさらに急落して200円になれば100円上がって300円になっても、300円も200円も一緒だよ!と思いがちです。

つまり同じ100円の損失も、株が下がるにしたがって悲しみの度合いが減少します。

このことを図に表すと上図の効用曲線になります。

③損失回避

効用曲線を見ると100円の利益と100円の損は嬉しさ、悲しさの増加具合に違いが見られます。前述したとおり、研究結果では損失の方が利益の約2倍のインパクトがあるとの報告がなされています。

図を見ながら考えてください。1,000円で株を買ったとします。今1,100円になりました。更に100円上がって1,200円になる時と100円下がって1,000円に戻る時と嬉しさはどう変化するでしょうか?

図より上がった時の嬉しさ(効用)の増加に比較して下がった時の嬉しさ(効用)の減少の方がより激しいのがわかります。

これが、利益を早く確定させたいという欲求の源泉となるのです。

反対に1,000円で株を買った後900円になりました。

更に100円下がった時の悲しみと100円上がって1,000円に戻った時の悲しさはどう変化するでしょうか?

この図から下がった時の悲しみ(効用)の増加より、上がった時の悲しみ(効用)の減少の方が大きいことがわかります。

つまり、株が上がっている時は利益を早く確定させたい欲求が働き(リスク回避的)、逆に下がっている時は損失を確定したくない欲求(リスク愛好的)が働くのです。

投資の世界には

”損切りは早く、利食いは遅く”

という言葉があります。

このプロスペクト理論は投資家が何故“損切りは早く、利は伸ばせ”ということができないかを理論的に説明したものであり、実際の投資において最重要な理論と言えます。

まとめ

このように「行動経済学」には、プロスペクト理論以外にもいろいろと役に立つマネーの心理学の研究がたくさんあります。

ぜひ、投資やビジネス、実生活で生かしてみてください。

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