教育ローンの返済に遅れるリスクと適切な対処法を解説

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教育ローンの返済に遅れるリスクと適切な対処法を解説
この記事に関するアドバイザ

貸金業務取扱主任者

手塚大輔

地方銀行に8年勤務し、住宅ローン・カードローン・フリーローンなど個人ローンの他、事業性融資・創業融資など幅広い業務を担当。貸金業務取扱主任者の資格を有する、100件あまりのフリーローン、住宅ローン数十件、その他に投資信託・個人年金・国債販売も取り扱った金融商品のプロ。

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この記事はこんな人向け

  • 教育ローンの返済が間に合わない
  • 滞納するとどうなるのか…?
  • 払えない場合の対処法が知りたい

教育ローンの滞納が一定期間続くと、保証機関・保証会社による代位弁済がおこなわれます。代位弁済となると、さまざまなデメリットが発生してしまいます。

よってそうなる前に、状況に応じた対処をすることが重要です。「期日には間に合わないがすぐに返済できそう」ということであれば、ほかの金融機関から借りて一時的に補填する方法もあります。

「当分は返済できる見込みがない」ということであれば、専門機関からアドバイスをもらいましょう。

この記事では、教育ローンの返済が間に合わないときの対処法や長期滞納のリスクを解説します。

この記事の目次

教育ローンは便利だからこそ、返済ができなくなる

教育ローン

高校・大学進学のタイミングは、高額な教育費が発生します。親としては子どもの将来を考え、できるだけ力になりたいところですが、それでもお金がない。そういった状況で大変便利なのが、教育ローンです。

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教育ローンのメリット

  • 入学金などまとまったお金を用立てできる
  • 在学中の教育費用も賄える
  • 海外留学もアシスト可能
  • 塾や学生服など周りのお金もOK
  • フリーローンに比べ低金利

教育ローンの利用目的は教育費用に限られますが、まとまったお金でも少額でもお金のサポートができるため、満足な収入を得られていない家庭にとっては強い味方です。

しかし、安易に教育ローンを利用すると返済が厳しくなります。

教育ローンには日本政策金融公庫と銀行からの2通りある

education-loan

教育ローンは基本的に2種類あります。

国の教育ローン(教育一般貸付)である日本政策金融公庫が運営するもの、それから銀行や信販会社が取り扱っているものです。

- 金利 限度額
国の教育ローン 年1.81%の固定金利 最高350万円
銀行の教育ローン 年2.1~4.0%前後 500~1000万円
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国の教育ローンの特徴

  • 留学希望者は450万円まで融資を受けられる
  • 低金利のため、生活への負担が少ない
  • 審査が銀行と比較すると厳しい
  • 世帯年収の条件がある
  • 共働きの家庭では条件に合わないことも
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銀行の教育ローンの特徴

  • 日本公庫と比較すると金利が高い
  • 審査は通りやすい
  • 限度額が高く幅広い対応が可能
  • 融資スピードが速く急ぎでもOK

金利だけでいえば、日本政策金融公庫の教育ローンのほうが低いため、最初に検討するはずです。しかし、審査に落ちてしまったり、限度額が足りない人は、銀行の教育ローンを検討することとなります。

他にも信販会社(クレジットカード会社)が提供している教育ローンもありますが、メジャーなのは国と銀行が提供している教育ローンでしょう。

どちらを利用していても払えないリスクは変わらない

国と銀行といった2種類の教育ローンの、返済を滞納した場合のリスクはあまり変わりません

「国だから滞納しても大丈夫・銀行なら問題ない」ということは一切ありません。

教育ローンは自分の信用を元に「お金を借りている」状態です。1日でも遅延すれば、それ相応のリスクがあることを、まずは理解しましょう。

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貸金業務取扱主任者|手塚大輔

銀行のほうが代位弁済が早い

国の教育ローンの窓口は民間金融機関で取り扱いがありますが、あくまでも民間金融機関は代理店で、民間金融機関から直接お金を借りるわけではありません。
しかし、銀行の教育ローンは銀行が預金者から預かったお金を融資します。
この違いは大きく、民間銀行は自行の融資が不良債権化することを極度に嫌がるものですので、通常は2か月分の返済が滞った時点で、保証会社に返済を立て替えてもらう代位弁済請求となります。
銀行とすれば代位弁済を受けてしまえば債権は保証会社に移りますので不良債権とならないためです。一方、国の教育ローンは民間銀行よりはもう少し長くまってくれる傾向にあります。
代位弁済となると、信用情報には事故情報が付きブラックとなってしまい、その後5年間はお金を借りることができません。銀行の教育ローンのほうが延滞に対する対応は早いといえます。

教育ローンを滞納するとどうなる?払えない場合の流れを確認

教育ローンを滞納すると、国・銀行を問わず以下の流れになります。

  1. 再請求日を案内する書面が送付
  2. 担当者から電話による支払督促
  3. 連絡がつながるまで督促電話が続く
  4. 保証機関・保証会社が代位弁済
  5. 裁判所から一括請求の書面が送付
  6. 給与・銀行口座の差押え

教育ローンを滞納したからといって、すぐに深刻な問題になるわけではありません。

遅れた当初は手紙や電話などの通告であり、さらに返済が滞ると一括請求や差押えと発展していきます。

返済日の翌日から遅延損害金が発生

国にしても、銀行にしても教育ローンの返済が1日でも遅れれば、遅延損害金が発生します。

借入先によって差がありますが、日本公庫の教育ローンの場合は年率9.00%の遅延損害金となります。銀行の教育ローンの場合、14.0~19.9%と幅があるため、一度確認してみてください。

遅延損害金の計算例
例:国の教育ローンで10日遅延した場合

借入金額:100万円とすると…

100万円×9.00%÷365日×遅延日数
=遅延損害金2,465円

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貸金業務取扱主任者|手塚大輔

ローン返済を滞納するリスクはクレジットヒストリーと事故情報

信用情報にはクレジットヒストリーという情報があります。これは過去24か月分の借入金とクレジットカードの支払状況を記録したもので、期日通りに支払うと$、期日に遅れるとAと記録されます。
$が並んでいる人は審査に有利、Aが多い人は審査に不利になります。
返済日ごと毎月クレジットヒストリーにはAか$マークが記録されるため、返済に遅れると信用力はどんどん落ちてしまうリスクがあります。
また、返済が2か月以上遅れると長期延滞となり、代位弁済となるとこれらの情報は事故情報として信用情報に登録されます。
信用情報の事故情報があると銀行や大手消費者金融では即審査落ちとなります。
返済を滞納するリスクは段階ごとにクレジットヒストリーへの記録と、事故情報としての登録の2段階があることを覚えておきましょう。

<要注意>教育ローンの滞納は保証機関・保証会社の代位弁済がおこなわれると危険!

教育ローンを借りる際には、保証機関や保証会社とも契約をする必要があります。

国の教育ローンであれば、教育資金融資保証基金が保証機関にあたり、銀行であれば信販会社や消費者金融が保証会社です。

保証機関・保証会社の役割は、利用者の返済が滞った場合に、代わって返済をおこなう(代位弁済)にあります。

代位弁済後は、日本政策金融公庫や銀行に返済をする必要はなく、保証機関・保証会社に返済をしなければなりません。

このタイミングで、更に滞納をし続けると一括請求や差押えのリスクが高くなってしまいます

一括請求について

滞納し続けると、その金額を全て一度に返済しなければなりません

一括請求に至るまでには、保証機関・保証会社が裁判所に届け出を提出し、認められると一括請求の通知が利用者の手元に届きます。

一般的には滞納してから3ヶ月前後で、一括請求を通知が自宅に届きます。

差押えについて

一括請求に応じれない場合は、財産の差押えが執行されます。

対象となるのは、給与・預金口座・家財です。給与については、民事執行法により4分の1までしか差押え対象となりませんが、1ヶ月の給与が33万円を超える場合には、超えた分は全額差押えられます。

■給与20万円の場合:差押え対象は5万円
■給与50万円の場合:差押え対象は17万円

また、それでも教育ローンの返済が足りない場合は、預金口座や家財が差押えられてしまいます。

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貸金業務取扱主任者|手塚大輔

差押えとは裁判所を介し資産を回収に充てること

差し押さえとは、借金を返済しない債務者に対して、債権者が債務者の資産によって回収できるよう裁判所に申し立てを行い、裁判所が認めた場合のみ資産を差し押さえて債権の回収に充てる方法です。
差し押さえができる資産は不動産、預金、給料、自動車、自宅にある骨董品や貴金属や有価証券などがこれにあたります。
差し押さえた資産は競売にかけられ、売却代金から債権者は債権の回収に充てることができます。
裁判所を介した法的な手続きですので、いきなり債権者が家にやってきて赤紙を張っていくなどといった昔のドラマのようなことは実際にはありません。執行官が自宅にやってきて差し押さえを行います。
給料の場合には会社に差し押さえの命令である差押命令正本が裁判所から送付され、給料は差し押さえられ、会社に借金を滞納しているということが発覚してしまうというデメリットもあります。

長期滞納は信用情報に傷がつく

教育ローンを長期間滞納してしまうと信用情報にも傷がつきます。

信用情報とは、ローンやクレジットカードの利用履歴のことで、国内に3か所ある信用情報機関で保管されています。利用履歴には、借入金額・限度枠はもちろん、1ヶ月ごとの遅延の有無が全て残ります。

ローンやクレジットカードの審査では、この信用情報も確認されるため、過度に遅延や滞納を繰り返している人は、審査に通らなくなるのです。

信用情報は5年~10年は消えない

この信用情報は、5年~10年間保管されます。将来的に住宅ローンや、自動車ローンを組もうとした時や、クレジットカードに申し込みした時のことを考えると、かなり大きなリスクと言えるでしょう。

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信用情報に異動情報が載ると(ブラック)

  • 住宅や車のローンが組めなくなる
  • クレジットカード契約ができない
  • カードローンでお金が借りられなくなる
  • スマホの分割払いが不可になる
  • 賃貸住宅の契約で保証会社を保証人にする場合に審査落ちする
  • 事実が知られると職場や家庭などでも信用を失う

どうしても返済が難しい場合の対処法

どうしても教育ローンの返済が難しい。その問題を放置すると、最終的に信用情報が傷ついてライフプランに悪影響が及ぶこともあり得ます。
そうなる前に、下記にような適切な対処を検討してください。

専門機関に相談しよう

どうしても返済ができそうにない方は教育ローンを含む借金について相談ができる専門機関に問い合わせてみてください。

例えば、下記のような専門機関に相談すれば、中立的な立場から適切なアドバイスをもらうことができるかと思います。

 国民生活センター・消費生活センター 
現在の状況に至る経緯を相談
カードを使った内訳、支払い状況、支払い可能になる日時など説明してみてください。相談に乗ってもらえます。

※最寄りのセンター・連絡先は公式サイトで確認してください
独立行政法人 国民生活センター

 金融サービス利用者相談室 
金融商品やサービスの相談窓口
預金・融資・保険商品・保険制度・投資・証券・貸金業など、お金に関しての適切なアドバイスをしてくれます。

金融庁:金融サービス利用者相談室

借り換えという選択肢も

場合によっては、他金融機関への借換えを検討してみてはいかがでしょうか。

月々の返済額というものは、各ローン会社が独自に設定しているものなので、現状よりも返済しやすい金融機関を見つけることで問題解決できる可能性があります。

借り換えの目的

借り換えの目的は、これから使用するためのお金を用意する通常の借入とは異なり、「返済負担の軽減」です。

例えば、合計の利息を減らしたいという方は、現状よりも低金利な金融機関を選んでください。毎月の返済負担を減らしたいのであれば、現状よりも少ない金額で返済できる金融機関への借換えを検討しましょう。

借り換えにも注意が必要

ただし、返済方法によっては、借り換えをしても利息負担が増えてしまう可能性があることには注意しましょう。

基本的に、月々の返済額が安くなるほど返済期間が長引くので、合計の利息金額は大きくなってしまうのです。

どれだけ低金利な金融機関に借り換えたとしても、それは変わりません。つまり、適切な金融機関を選ぶこと計画的に返済し続けることが、借り換えを成功させるポイントなのです。

どうしても解決が難しい方は債務整理という手段も

ここまでで紹介した対処法で解決できれば、それに越したことはありません。
しかし、ローンを組んだ金額や収入状況によっては、どうしても自己解決が難しい人もいるかと思います。

どうしても返済ができない方には、債務整理で返済負担を減らすという手段もあります。

返済負担を法的に軽減する

債務整理とは、借金の減額や返済期限の延長などにより、返済負担を減らす法的な手続きです。

具体的な手続きには、「任意整理」や「個人再生・民事再生」、「自己破産」といったいくつかの種類があります。

必ずしも借金が全額免除されるとは限らず、可能な限り自力で返済する必要がありますが、少なくとも自分の力で無理なく完済できる状態は目指せるでしょう。

ただし債務整理にもデメリットがある

債務整理とは、ノーリスクで借金問題を解決できる、というものではありません。例えば、下記のようなデメリットに注意する必要があります。

  • 信用情報が最長10年間ブラック化する
  • 財産の一部が処分される場合がある
  • 一部の資格が取得できなくなる場合がある

どのようなデメリットが生じるかは債務整理の種類によっても異なりますが、少なくとも自己解決する方法を熟考したうえで検討した方が良い選択肢であることは覚えておきましょう。

まとめ

子どもの成長を考えると、教育ローンという選択肢を選ぶことになる親御さんは、決して少なくないと思います。
しかし、その返済が長期に渡って滞れば、今後5~10年のライフプランに悪影響が及ぶ恐れもあるでしょう。

そうなる前に、まずはローン会社への連絡を行い、適切な対処を検討してください。

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