待つとお得?年金の繰り下げ受給について

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待つとお得?年金の繰り下げ受給について
この記事を執筆した専門家

ファイナンシャルプランナー

大泉稔

1級FP技能士1種証券外務員貸金業取扱主任者
明星大学卒業。刑務所職員、京王タクシー交通事故係、社会保険庁ねんきん相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て、現在に至る。
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この記事の目次

本稿では「待つとお得?年金の繰り下げ受給について」というタイトルで述べて参りたいと思います。

「お給料からたくさん取られるけど、将来もらえる額は少ないのでは?」と言う具合に、国からの年金(以下、本稿では「国からの年金」を、年金と書いていきます)はネガティブに考えてしまいがちですよね?

そんな年金について、少しだけポジティブにな気持ちになれるかも知れないお話です。

年金の特徴は「終身もらえる」こと

年金の特徴は、何と申しましても「終身もらえる」という点に尽きると思います。

終身もらえる、つまり「年金は生きている限り、ずっともらえる」ということです。

とは申し上げても「何歳まで生きることが出来るのか?」という問いに対しては、誰も答えることが出来ませんよね。

平均寿命は伸び続けている

そこで参考になると思われるのが、平均寿命です。厚生労働省が発表した2018年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.25歳、女性のそれは87.32歳です。

そして今、平均寿命が伸びていますし、平均寿命は今後も伸び続けると言われています。そのため、人生100年時代、とも言われるようになりました。

受給できる金額が重要になってくる

人生100年時代に、年金は終身もらえる。何気に良さげな響きに聞こえますが、もらえる額が十分では無いと、暮らしが寂しい老後になってしまいそうです。

と言うことで、「将来のために、貯金をしましょう!」と言うお話ももちろんありなのですが、本稿の読者の皆さまの中には、今から貯金をしようにもご年齢的に、あるいは生活の上でなかなか難しい方もいるかも知れません。

年金の繰下げ受給について

今回紹介するのは、「年金の繰下げ受給」です。「繰下げ」とは、「年金をもらい始める年齢を遅くする」と言う意味です。

ご存知のことと思われますが、年金は「65歳からもらい始める」のが原則です。

その「65歳」を「66歳~70歳(=2022年以後は、66歳~75歳)のいずれか時点」に遅らせることができる、これが繰下げ受給です。

受け取りを待つだけで年金の受給額を増やせる

では、繰下げ受給をすると、何か良いことがあるのでしょうか?

「1か月繰下げる」ごとに、年金の額が(65歳から、もらい始める場合に比べ…以下、同じ)0.7%増えます。

つまり、年金を66歳からもらい始めると、年金の額は8.4%(=0.7%×12か月)増えます。

年金を受け取り始めるのを1年間、待つだけで、その後に受け取る年金の額を増やすことが出来るのです。

そして、増えた額と言うのは、ずっと変わりません。

5年間待つと65歳から受取り始める年金額の1.42倍

仮に、5年繰下げ、すなわち年金を70歳からもらい始めると、年金の額は42%(=0.7%×12か月×5年間)増え、金額も変わりません。

5年間年金を受け取るのを待つだけで、65歳から受け取り始める年金の額に比べて1.42倍になるんです。もらえる額を増やすには、待つだけ。そんな方法が他にあるのでしょうか?

ちなみに、2022年以後と少し先のお話にはなってしまいますが。10年繰下げもできるようになります。つまり、年金を75歳からもらい始めると、年金の額は何と84%(=0.7%×12か月×10年間)も増えます。

年金の繰下げ受給の課題について

ここまで美味しいお話を聞いてしまうと、やはり「本当は、何かウラがあるのでは?」と、妙に気になってしまいますよね?

何と言っても待つだけで増えるんですし、その額がずっと変わらない、終身もらえるのが特徴と聞くと、ホントのところ何があるのか気になるところです。

確かに待つだけと申し上げましたが、実はこの待つだけには、2つの重い課題があります。

待っている間は年金をもらえない

課題の一つ目は待つだけ、つまり待っている間は年金をもらうことが出来ない点です。

待っている間は若い時に民間の金融商品などでお金の準備を整えておくか、65歳以後も働き続けるなど、ご自身で収入源の確保や生活費の遣り繰りに工夫が必要になるでしょう。

受給できず亡くなってしまう可能性もある

課題の2点目は、待っている間に亡くなってしまった時です。(不躾なお話で恐縮ですが、大切なことです)

もらえるはずだったご本人は当然、もらうことができません。

しかし、この場合には、待っている間にもらえたであろう年金、つまり65歳から亡くなるまでの間もらえたであろう年金を遺族が受け取ることができますので、全くムダになってしまうことはありません。

年金の繰下げ受給を受け始めてからも課題あり

年金を繰下げることで、増えた年金をもらい始めてからも課題があります。

待つことがメリットだったか否か、という根源的な課題です。この課題は、例を挙げて考えてみることにしましょう。

年金を1年繰下げ受給した場合をシミュレート

例えば、65歳から100万円の年金をもらうことが出来る人がいたとしましょう。この人が、年金のもらい始めを66歳に繰下げたとします。

年金をもらうのを1年間待つことで、8万4千円(=0.7%×12か月)増えて、66歳から108万4千円の年金を終身もらうことができます。

しかし、65歳から66歳までの1年間は年金を全くもらっていないので、(65歳から同じ額の年金をもらい始めた人に比べて)100万円のマイナスになるのです。

66歳以後、生きている限り毎年もらう年金が8万4千円増えたその一方で、65歳から66歳まで、年金を全くもらっていないため100万円のマイナスがあるのです。

このマイナスは取り戻すことができるのでしょうか?

78歳まで受給すればマイナスを取り戻せる

ここでも、やはり年金の特徴である「年金は終身もらえる」が活きてきます。

先述した100万円のマイナスは、12年間で取り戻すことができるのです。つまり、78歳まで生きて(=年金をもらい続けて)いれば、年金を66歳に繰り下げた人の1年間のマイナスを取り戻すことが出来ます。

繰下げて増えた8万4千円×12年間=100万8千円、ということです。

12年間受給することが重要なポイント

ちなみに、年金を70歳まで繰り下げた人も同じです。

同じように65歳から100万円の年金をもらう予定だった人が、今度は年金を70歳に繰り下げたとしましょう。

5年間、年金はゼロです。つまり、(65歳から同じ額の年金をもらい始めた人に比べて)500万円のマイナス(=年金100万円×5年間)ということになります。

一方で、繰り下げることで(年金が)増えるのは、先述の通り42万円です。なので、70歳から毎年142万円の年金を、生きている限りもらうことができるのです。

では、先ほどの500万円のマイナスは何年で取り戻すことができるのでしょうか?

やはり、12年後、つまり82歳まで生きて(=年金をもらい続けて)いれば、マイナスを取り戻すができます。

繰下げて増えた42万円×12年間=504万円、ということです。

まとめ

年金をもらい始めるを「待つだけ」で、もらえる額を増やすことができるのが年金の繰下げ受給です。

もっているお金を定期預金に預けておいても、その金利は1年で0.02%と言う銀行が多いのでは無いでしょうか?

定期預金などに比べると、年金の繰下げ受給は遥かにお得ですね。しかも、年金をもらい始めるのを「待つだけ」です。

とは言っても、年金をもらい始めるのを待っている間の収入をどうするのか?あるいは、繰り下げた年金をもらい始めたものの、思いの外早く無くなってしまい、年金はやっぱり65歳からもらっていた方が良かった、と言うこともあるかもしれません。

ですが、平均寿命は延び続けていますし、今後もその傾向は変わらなさそうです。と言うことで、長い老後を豊かに過ごすには、年金の繰下げ受給が選択肢の一つになろうかと思います。

※年金の繰下げ受給については、他にも留意することがございますが、本稿では割愛しました。

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