「会社経営」から参考にしたい!上手に「家計管理」を行なう方法
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ファイナンシャルプランナー
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手小売業、会計事務所、卸売業などで経理事務を担当する。20代の頃から株式投資を始め、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。がんサバイバーでもあり治療のお金を捻出するため家計を家計簿で立て直す。今後は介護問題に悩む人に成年後見制度の周知を行ないたいと思っている。
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家計を管理することは会社を経営することに通じるところがあります。と、いっても当たり前のことですが「家計管理」と「会社経営」すべてがイコールではありません。
今回は「会社経営」のどのあたりを参考にして「家計管理」に取り入れていけばよいのかをお話したいと思います。
家計の特徴、会社の特徴
家計は皆さんが生きている限り続きます。その間、家族の人数が増えたり減ったりすることはありますが、家計はそういう事情も踏まえながら管理していかなくてはなりません。
会社は成長するために人員を増やして大きくしていくことも重要です。会社は存続していくことが使命ですが、どうしても無理だとなれば廃業することもあります。
一方、家計は無理だから廃業するというわけにはいきません。そういう意味ではむしろ会社以上に家計の管理は重要となります。
まずは現状を見ること
「会社経営」では毎日帳簿をつけます。1ヶ月が終わると帳簿を締め試算表を作成し、その月が黒字だったか赤字だったか確認します。そして1年が終わると決算を行ないます。株主総会を開き、税務署に申告書を提出し税金を納めます。
ここまでが会社の会計では一区切りとなります。
家計の場合、なんとなく家計を把握している人は多いでしょうが、実際きちんと毎日家計簿をつけ、1ヶ月が終わると黒字か赤字かを確認し、年末にその年の収支がきちんとわかっているという人は少ないのではないかと思います。
しかし、まずはご自身の家計の実態を見ないことには家計の問題はいつまでたってもクリアできません。
だったら家計簿をつけよう…というのは少しお待ち下さい。家計簿より前に実施していただきたいことがあります。
「資産簿」を作りましょう
会社には決算時に作成する決算書類があります。それが「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」と「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」です。
「損益計算書」は日々の売上や仕入、経費などを記録するものです。家計でいえばこれが「家計簿」に当たります。「貸借対照表」は決算日時点での資産や負債を記したものです。これを家計では「資産簿」として皆さんにまず作っていただきたいのです。
「資産簿」を作ることによって現状の家計はいくらの財産を持っているのか、借金はいくらあるのかがわかります。
まず、今の時点での家計の状態を見ましょう。
資産簿の作り方
「資産簿」という聞きなれない言葉を聞かれて難しそうと思われるかもしれませんが、決して難しいものではありません。まずは現在の「資産」をリストアップします。「資産」には「現金」「預金」「保険」「投資信託」「株」「不動産」「貴金属」などがあります。
「保険」は今、解約するとすればいくらの解約金になるかを保険会社に確認してみましょう。
「投資信託」や「株」は購入したときの価格ではなく現在の価格を書き出します。
「不動産」も同様です。「不動産」には自宅も入ります。
次に「負債」をリストアップします。「負債」には「住宅ローン」を初め、「自動車ローン」や「カードローン」、「教育ローン」や「奨学金」も入ります。これらも現在いくら残があるかを確認し、この金額を書き出します。
左に「資産」の項目と金額を、右に「負債」の項目と金額を上から書いていきます。
「資産」と「負債」それぞれを合計します。
さて、「資産」と「負債」どちらが多いでしょうか?
「資産」が「負債」より多い場合その差額を会社では「純資産」といいます。家計でも「資産」が「負債」よりも多いのであれば現在の家計は上手くいっているということがわかります。
反対に「負債」が「資産」より多いのであれば危険な状態の家計ということがいえます。つまり「純資産」をいかに積み上げていけるかが「会社」でも「家計」でも肝心ということになります。
家計簿で問題点を探っていきましょう
「資産簿」を作ることにより、現在「資産」と「負債」のどちらが多いのかが把握できました。
現在「負債」の方が多かったという場合はできるだけ借金を早く返済することを考えます。「資産」の方が多かったという場合は今後「純資産」をどんどん積み上げていくことを目標にします。
「資産簿」はあくまでそのときの「資産」と「負債」を見るものですので、何故貯金ができないのか、毎月赤字なのかという原因を探ることはできません。
そこで「家計簿」の出番となります。
「会社」では「損益計算書」で売上、仕入、販管費(いわゆる経費)を把握します。今月は売上が落ち込んだ、販管費の旅費が多かったなど何が原因で赤字になったのかが確認できます。
家計簿も同じです。
家計簿に決まった型はありません
家計簿は手書きでもパソコンでもアプリでもなんでも構いません。重要なのは家計の問題点をきちんと浮かびあがらせることができる家計簿になっているかということです。
まずはご自身の家計に関係しそうな項目を作っていきます。
「食費」「光熱費」「教育費」「日用品」「医療費」など。毎月決まった金額が支出される「住宅ローン(家賃)」や「保険料」などは除きます。固定費は除いておくと毎月変動するものだけを記録すればよいので手間が省けます。
こうして記録ができれば何にお金を使っているのか、何を減らしていけばいいのかを家計簿から読み取ることができます。
家計簿はある程度ざっくりで構いません。まずは続けることが大事です。1円単位でこだわったり、費目で悩むこともありません。あくまで家計の把握ですので会社の会計のように全部がきっちりしていないといけないということはありません。
ここはあまり固く考えないで下さい。
投資についての考え方
会社は「純資産」を積み上げていくのと同時に、将来を見据えて「投資」を行なっていくことも重要です。現状維持のままでは時代に取り残され、存続していくことが困難になるからです。
家計でも同じことがいえます。
家計で「投資」と聞くと「投資信託」や「株」など金融商品を買うことと思いがちですが、それだけではありません。
例えばお子さんの「教育費」も一種の「投資」です。但し、ただ塾に通わせればよいというのではなく、お子さんの適性や気持ちを汲み取って何をしてあげればよいのかを考えることが必要です。
他にもお子さんだけでなくご自身も資格を取得したりなど、現在はお金が出ていくようなことでも長い目で見れば収入がアップするというのであれば立派な「投資」といえます。
現状の家計の状態を把握しながら将来への投資もしつつ、家族が笑顔で幸せに暮らせ、将来のお金の不安を少しでも減らすことが「家計管理」の大きな目的です。
是非、参考にしていただければ幸いです。