ローン申込時に他社の借入状況を確認する理由と審査に与える影響
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貸金業務取扱主任者
地方銀行に8年勤務し、住宅ローン・カードローン・フリーローンなど個人ローンの他、事業性融資・創業融資など幅広い業務を担当。貸金業務取扱主任者の資格を有する、100件あまりのフリーローン、住宅ローン数十件、その他に投資信託・個人年金・国債販売も取り扱った金融商品のプロ。
- ✓お金を借りたいけど実は他社借入が残っている
- ✓他社借入額や借入件数が審査に与える影響を知りたい
- ✓他社借入ありでもお金を借りられる工夫ってあるの?
銀行カードローンや消費者金融のキャッシングに申し込むとき、フォームには様々な情報を記入しなくてはいけません。
その中には他社での借入状況も含まれているのですが、この点は「すでにキャッシングしていると審査に不利だろうか」という不安につながりますよね。
また、実際に記入するとなると細かな疑問も浮かび上がってくるでしょう。
この記事では、そういった不安や疑問をすべて解消していきます。
カードローン申し込みで"他社での借入状況"が必要な理由と目的
そもそも、なぜカードローン申し込み時に借入状況を確認されるのか。これには、法的な理由とリスク回避という目的があります。
法的な理由|年収の1/3を超える貸し付けを避ける
実は、借入状況の確認は法律で定められた絶対に行わなくてはいけない手続きなのです。
その法律は貸金業法というもので、これによって定められている総量規制という制度に定められています。
総量規制とは
総量規制とは個人の借入総額が、原則、年収等の3分の1までに制限される仕組みを言います。総量規制の対象となる「個人向け貸付け」とは、個人がお金を借り入れる行為のことです。
ただし、個人が事業用資金として借入れる場合は、原則として総量規制の対象とはなりません。
要するに、借入状況を考慮せずに貸し付けを行うことは法律違反となってしまうのです。
リスク回避|返済困難な人への貸し付けを避ける
借入状況の確認には、踏み倒しリスクの回避という目的もあります。他社からの借入が多い人は、すでに毎月高額の返済を行っているため、同じ収入がある人でも支払い能力が下がっている状態です。
支払い能力は「与信」と呼ばれていますが、返済に追われている状況だとその分与信の評価も下がります。
与信がよくない人はいざお金を貸したとしても返済困難な状況に陥りやすく、踏み倒しが発生するリスクがあるため、場合によっては審査落ちという対処がとられるのです。
借入状況に記載する内容と審査に与える影響
では、借入状況としてはどのような項目を記入すればいいのでしょうか。単純に"借りている金額"を記入するにせよ、実際に申し込むとなれば戸惑うこともあるかもしれません。
主に記入しなければいけない項目は、他社借入額と他社借入件数の2つです。
他社借入額|1万円単位で元金の総額を記入しよう
借入状況に関係してくるのは、今現在借り入れしているお金の総額です。
例えば10万円の借り入れをした場合でも、返済が進んでいて元金が5万円まで減っているなら、記入する金額は5万円となります。
ただし、複数社から借り入れしている人は要注意です。申し込みフォームの借入状況記入欄には、合計した残り元金の額を記入してください。
総量規制の都合上、年収に対して借入額が多ければ設定可能な限度額が少なくなります。
あまりに高額だと、その時点で審査落ちすることもあるでしょう。
他社借入件数|実際に利用している件数を記入しよう
例えば5社の金融会社でカードを作っていたとして、その内3社から借り入れをしていたとしましょう。
その場合、申し込みフォームの借入状況記入欄に記入するのは3社だけです。
カードを持っていても、今現在1円もキャッシングしていなければ、借入状況には関係ありません。
クレカのリボ払いは借入状況に記載すべき?
借入状況の記入に際して、すでにローンを組んでいる場合などはどの金額を書き込めばいいのか混乱してしまうこともあるでしょう。
まず、住宅ローンや自動車ローンなどの大型ローンについては、借入状況には関係ありません。では、クレジットカードの利用状況はどうでしょうか?
一回払いもリボ払いも「ショッピング枠」なら関係ない
結論から言って、ショッピング枠であればいくら使っていても借入状況には関係しません。
リボ払いを利用している人は、金利手数料が発生していることから「借入状況に含まれるのでは」と思うでしょうが、こちらも無関係です。
ただしキャッシング枠のリボ払いは関係する
注意していただきたいのは、クレジットカードのキャッシング枠を利用している場合です。
普段ショッピング用として使っていても、現金を引き出すキャッシングは借り入れ行為なので、申し込み時にはしっかり記入しなくてはいけません。
複数のクレジットカードでキャッシングしているのであれば、他社借入件数としてカウントされてしまいます。
これまでカードローンを利用したことがない人であっても、複数クレジットカードのキャッシングをおこなっている場合は審査落ちしてしまいますので気をつけましょう。
ローンと借金に大きな違いはない
ローンと借金は、どちらも利息を払ってお金を借りていることに変わりないので、特に大きな違いはありません。
細かくローンと借金を比較していけば、言葉の意味に少しだけ違いがあります。
・借金 ⇒ お金を借りること
言葉のイメージに差がある
さらにローンと借金では、言葉を使ったとき相手に与えるイメージにも差があります。
ローンは目的のために投資する前向きな印象があり、逆に借金は仕方なく借りている悪印象を感じさせてしまいます。
ローンは3種類に分けられる
前向きなイメージを持つローン商品は、大きく下記の3タイプに分類されます。
・用途は自由
・限度額内で何度も利用可能
・比較的審査が早い
【目的ローン】
・用途は特定の目的に限定
・低金利で利用可能
・融資までに時間がかかる
【フリーローン】
・用途は自由
・口座に全額振込
・返済のみで追加融資は不可
借入状況で嘘をついても絶対にバレる
すでにキャッシングをしている人の中には、あまり正直に借入状況を入力したくないという方もいるでしょう。
しかし、借入状況は嘘をついても確実にバレます。また、ここに嘘があると審査に落ちる可能性もあります。
なぜ借入状況の嘘がバレるのか、それは信用情報に記録が残っているからです。
出典: JICC 指定信用情報機関 株式会社 日本信用情報機構「信用情報」とは、ローンやクレジットの利用などの信用取引に関する、過去から現在までの客観的な取引事実を表す情報です。
借入状況は信用情報にすべて記録されている
クレジットカードのショッピング利用を含め、金融関連の支払い状況・利用状況はすべて信用情報に記録されています。
信用情報は、専門の機関を通じて各金融機関に共有されているものです。スコアリングシステムを用いたコンピューター審査の一環でチェックされているため、瞬時に現状の借入状況が発覚します。
統計的モデル(一定のロジック)に基づいて、個人または企業の信用度を点数化(スコアリング化)し、与信可否を迅速かつ中立的に判断するシステムのことをいいます。
具体的には、カードの入会審査(初期与信)では、顧客の属性(年齢・年収・勤務先・勤続年数・居住状況等)や個人信用情報機関の個人信用情報を解析してスコアリング化し、またカード発行後の審査(途上与信)では、利用状況や支払状況をスコアリング化します。
この段階で申し込み内容と食い違っていれば「嘘をついている」と判断されるのです。嘘がバレれば審査落ちするだけでなく、今後一切その金融機関や保証会社のローン商品を申し込むことができない可能性があるでしょう。
他社借入額が多い、そんな人は…
正直言って、借入状況がよろしくない。そんな人は、申し込み先に工夫が必要です。
他社借入額が多い状況では、審査通過のハードルも低くありません。
しかし、他社借入が多すぎなければ、融資を受けられる可能性が十分にあります。
まずは少しずつ借り入れを減らそう
現状の借入状況が多い場合、まずは他社借入額を減らすことから始めましょう。
先述でも解説した通り、総量規制の影響により年収の1/3以上の借り入れができないため、既に借入が総量規制以上の方はまず返済を行ってください。
また、借入額が総量規制に達していない場合でも、他社借入が4社以上ある場合は多重債務とみなされる恐れがあります。
1社でも多く完済して、再度借入できる態勢を整えておくことが重要です。
おまとめローンという選択肢もある
他社借入が多い人には、おまとめローンという選択肢もあります。複数の借金をまとめて、返済負担を軽減することが可能です。
マネットがおすすめするのは、東京スター銀行の取り扱うおまとめローン。金利は年率9.8%・12.5%・14.6%※のいずれかに固定されていますが、一般的なカードローンと比較しても金利はお得だと言えるでしょう。
注意点として、アルバイトやパートは利用不可。加えて、年収が200万円以上必要です。
上記のように利用条件は通常のカードローンに比べて制限が多いものの、年率9.8%・12.5%・14.6%※のいずれかでおまとめできるのは魅力的なので一度検討してみてはいかがでしょうか?
※東京スター銀行所定の審査により決定いたします。
Q.具体的に何件以上の他社借入が審査落ちの原因になるのか
貸金業務取扱主任者|手塚大輔
目安は3本以上です
一般的に3本以上の借入があると、多重債務であると見なされます。逆に言えば許容される借入本数は3本までで、4本目以上の借入はよほど年収が高いとか、既存債務やクレジットカードの支払いをきっちりと行っている人でないと審査通過は難しくなります。
借入本数が多い人は借金の返済を借金で行う傾向があるため、その人は新たな借入ができなくなった時点ですべてのローンの返済が不能になってしまうためです。